森火土金水

日々思うこと、さまざまな占術について綴っています。 mori ka do gon sui

晴れと水

二回にわけてとった夏休み。後半の夏休みは、特に予定を立てていなかった。
休み開始前夜に突然、南に行こう!と思い立って、観音崎京急ホテルを予約。
併設の「PASSO」にある、海を眺められる露天風呂に以前から行ってみたかった。
翌日、観音崎を目指して、めったに使わない京急線に乗り込む。
駅のホームの自動販売機で初めて買った飲料水の名前は「晴れと水」。
まさに「晴れと水」のような旅だった。
旅先に、本を一冊持っていこうと思って、海が見える部屋で読むなら?と考える。
華麗なるギャツビー」だ。
海沿いに建つ自邸の向かい側の岬(デイジーの邸宅がある)に灯る、緑色の光に、さっと手をさしのべたギャツビー。
もっていく本は、ギャツビーでしょ、ここは。
静かな馬堀海岸駅に到着し、送迎のシャトルバスに乗り込んで、道を曲がってまっすぐ行った先に、突如、海がひらけた。
海がひらけると、こころがひらける。
この日はさいわい、晴れていたから、余計に海が明るい。
ホテルに到着し、さっそくPASSOに行き、海を眺めながらの露天風呂と、視界を空でいっぱいにしながらの寝風呂に、癒される。
観音崎は、横浜港に向かう船の「横顔」が見える位置。
各部屋に、双眼鏡が置いてあって、船を観察することができる。
船の立てる波音も機械音からも遠く隔たっていると、無音で海の稜線を進んでいく、大きさもかたちもさまざまな船の横顔に、とても癒される。
思いがけず、貨物船がカラフルでとても可愛い。船上に、レゴをきっちり積み上げているような感じ。
夜になれば、海の風景も地味…と思ったら。
遠くの岬(たぶん横浜港)に、緑色の光が点滅しはじめたのだ。
これは、ギャツビーと同じシチュエーション。
緑色の光に答えているように、向かい側の岬には銀色の光が点滅している。
きゅっと絞った光源がつくる、素敵な夜の景色だった。
ちなみに、観音崎京急ホテルには「豪華客船の観音崎通過時刻表」が置いてあって、
それによると私がこの一泊で豪華客船を見られるチャンスは、翌朝の5:00。
目覚めますように、と祈りながら眠って、ふと目覚めたら時計は5:07。きゃーっ
もう行っちゃったかな? 豪華客船って、ど、どれかな。もしかしてあれ?あの大きくて白いやつ?
と、あせりながら双眼鏡で海を見ていたけれど、確信が持てない。
もしかして豪華客船を見逃したかも・・・と思ったけれど、
どうやらその時間帯は、船のラッシュアワーらしくて、つぎつぎとさまざまな船が並んで、大きな船も小さな船も順番を守って、海の上を一列に並んで進んでいるようすに、なんとも癒されて。
5:07に起きられて良かった、と思う。
朝ごはんの後にもPASSOのお風呂を目指したら、外は雨。
独占状態の露天風呂の水面には、雨粒の描く円がつぎつぎと生まれて、それはそれで風流な感じ。
チェックアウト後も午後3時までPASSOを使うことができたので、一度外に出て、走水神社と横須賀美術館に行くことにする。
外に出たら、嬉しいことに雨が上がっていた。
防衛大学海上練習場を横目に見ながら、走水神社に到着。
倭建命と弟橘媛に縁のある神社。古事記の世界だ~
雨が上がったあとなので、神社全体が、水にしっとりと濡れ、本殿の脇に小さな水神社があって、小さな岩棚の中に河童がまつられていたりして、水の威力たっぷりの雰囲気。
荒れ狂う海を収めるために、海に身を投げたという弟橘媛の碑を立てた人物の名には、当時の日本軍のトップが並び、軍港だった観音崎にとって、ぜひともあやかりたい媛だったんだなあと思う。
その後横須賀美術館を経て、再度PASSOに戻り、晴れと雨が交互にそそぐ、海とお風呂をいただいてから、帰宅。
あたたかい水につつまれたような、一泊旅だった。

夏休み、終了。